※当サイトはプロモーションを含みます
熊被害が過去最悪に:駆除の現場が直面する現実

2025年、日本各地で熊による被害が深刻化しています。環境省の発表によると、10月末時点で熊による死者は12人に達し、過去最悪だった2023年度の6人を大きく上回るペースです。目撃件数も1万6000件を超え、住宅街や市街地での出没が相次いでいます。
こうした状況の中、熊の駆除を担う人々に注目が集まっています。特に「マタギ」「猟友会」「ハンター」という言葉が混同されがちですが、それぞれの役割や背景には大きな違いがあります。
マタギとは何者か?自然と共生する伝統的狩猟者

「マタギ」とは、主に東北地方(秋田・山形・青森など)に伝わる伝統的な狩猟集団のことを指します。彼らは単なる猟師ではなく、山の神を敬い、自然と共生する哲学を持って熊狩りを行ってきました。
🔹マタギの起源と文化
- 起源は平安〜鎌倉時代とも言われ、長い歴史を持つ
- 名前の語源には「山立(やまだち)」が訛った説や、アイヌ語の「マタンギ(冬の人)」由来説などがある
- 阿仁地方の「阿仁マタギ」は特に有名で、国の重要有形民俗文化財にも指定
🔹狩猟スタイルと思想
- 巻き狩りという集団狩猟が基本。勢子(セコ)が獲物を追い、射手が仕留める
- 狩猟前には山の神への祈りを捧げ、熊を「山の神の使い」として扱う
- 解体後には供養を行い、肉・毛皮・胆嚢などを無駄なく活用
🔹現代のマタギ
-
- 高齢化と後継者不足により数は減少
- しかし、自然との距離感や倫理観が熊被害対策のヒントとして再評価されている
- 森吉山や白神山地など、ブナ原生林に囲まれた地域で文化が継承されている
猟友会とは?熊駆除の最前線に立つ地域組織
「猟友会」は、各都道府県単位で組織される狩猟者の団体で、主に行政と連携して有害鳥獣の駆除や自然保護活動を行っています。
🔹猟友会の役割
- 熊の出没時には自治体の要請で出動
- 駆除だけでなく、鳥獣保護区の管理や狩猟免許講習なども担当
🔹現代の課題
-
- 会員の多くが高齢で、若手の担い手が不足
- 危険な任務にもかかわらず、報酬や補償制度が不十分との声も
- 2025年、自民党の「クマ被害緊急対策PT」に出席した大日本猟友会の佐々木洋平さんは、「警察官によるライフル駆除は現実的ではない」とし、経験あるハンターの育成と法整備の必要性を訴えました
ハンターとは?個人資格者としての多様な立場
「ハンター」は、狩猟免許を持つ個人を指します。猟友会に所属している人もいれば、趣味や副業として活動する人も多く、その立場は多様です。
🔹ハンターの現状
- 2020年時点で約21万8000人。1975年の半数以下だが、若年層の取得は増加傾向
- ガバメントハンター構想:自治体職員などを対象にした「公務員ハンター」の育成が進行中
- 緊急銃猟制度:2025年9月から導入された新制度に対し、現場のハンターからは「責任の押し付け」との批判も
現役ハンターの中には、「熊を殺すために猟友会に入ったわけではない」と語る方もおり、駆除の倫理や制度の不備に疑問を呈しています
マタギ・猟友会・ハンターの違いを整理
| 項目 | マタギ | 猟友会 | ハンター |
|---|---|---|---|
| 組織形態 | 伝統的な狩猟集団 | 地域の狩猟団体 | 個人資格者(趣味・副業含む) |
| 狩猟スタイル | 集団での巻き狩り | 銃を用いた個別対応 | 個人での狩猟が中心 |
| 哲学・思想 | 山岳信仰・生命倫理を重視 | 駆除・保護活動が中心 | 多様な目的(趣味・収益など) |
| 現代の課題 | 後継者不足・文化継承 | 高齢化・制度の限界 | 責任と報酬の不均衡 |
熊被害と駆除の未来に向けて
熊の出没が増加する背景には、山の環境変化や気候変動、人口減少による里山の荒廃など、複合的な要因があります。単に「撃って終わり」ではなく、生態系全体を見据えた対策が求められています。
- マタギの知恵の再評価:自然との距離感や倫理観は、現代の駆除にも活かせる
- 猟友会の支援強化:報酬制度や法的整備が急務
- ハンターの多様化対応:ガバメントハンターや若手育成の仕組みづくり
まとめ
熊被害が深刻化する中、駆除の現場ではマタギ・猟友会・ハンターそれぞれの立場と葛藤が浮き彫りになっています。単なる「駆除者」としてではなく、自然と人間の境界を守る存在として、彼らの役割を再定義する時期に来ているのかもしれません。
