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向田邦子さんの飛行機嫌いと事故の真相|やなせたかしさんとの関係をたどる

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はじめに:飛行機を嫌った向田邦子さん──地に足のついた旅へのこだわり

向田邦子さんは、昭和を代表する脚本家・エッセイスト・小説家として知られています。『寺内貫太郎一家』『阿修羅のごとく』など、家族や人間関係を丁寧に描いた作品は、今も多くの人々の心に残っています。

そんな向田さんには、意外な一面がありました。それが「飛行機嫌い」です。生前の彼女は、飛行機に対して強い不安を抱いていたようで、海外旅行でも可能な限り船や列車を使い、空を飛ぶことを避けていたといいます。

この「飛行機嫌い」は、単なる恐怖心ではなく、向田さんの生き方や美学に根ざしたものだったのかもしれません。地に足のついた日常を愛し、非日常的な移動手段に違和感を覚えていた彼女の姿勢は、作品にも通じるものがあります

1981年8月22日──台湾で起きた悲劇

そんな向田邦子さんが、なぜ飛行機に乗ったのか──それは1981年、雑誌の取材で台湾を訪れていたためでした。帰路に搭乗したのが、遠東航空103便。台北松山空港から高雄国際空港へ向かう国内線でした。

しかしその飛行機は、離陸からわずか16分後に空中分解し、墜落。乗員乗客110名全員が死亡するという大惨事となりました。向田さんは、51歳という若さでこの世を去ることになります。

事故の原因は、整備不良による機体の構造的な問題とされており、台湾でも大きな社会問題となりました。日本では、文化人としての彼女の死が大きく報道され、多くの人々がその突然の別れに衝撃を受けました。

飛行機を嫌っていた向田さんが、最後に乗ったのが飛行機だったという事実は、あまりにも皮肉で、そして悲しいものです。

やなせたかしさんとの関係──編集者と挿絵画家の交差点

向田邦子さんやなせたかしさんの関係は、単なる知人以上のものでした。1950年代、雑誌『映画ストーリー』で向田さんが編集者を務めていた頃、やなせさんは同誌にエッセイを連載しており、ふたりはこの時期に親交を深めていきます。

やなせさんは、向田さんが脚本家としての道を歩み始めた初期に、テレビドラマ『ハローCQ』(1964年)への参加を推薦しています。向田さんはこの作品に2本の脚本を提供し、やなせさんがその内容に手を加えたこともあったそうです。後にやなせさんは「冷汗ものだった」と回想し、向田さんに対して恐縮する気持ちを語っています。

さらに、向田さんの代表的エッセイ『父の詫び状』がタウン誌『銀座百点』に連載された際、挿絵を担当したのもやなせたかしさんでした。ふたりの関係は、編集者と作家、挿絵画家とエッセイストという形で、長く続いていたのです。

やなせたかしさんの胸の内──すれ違いと静かな敬意

向田邦子さんが直木賞を受賞し、名実ともに日本を代表する作家となった頃から、ふたりの関係には距離が生まれます。やなせたかしさんは自身の著書『アンパンマンの遺書』の中で、「身分ちがいになったぼくは、気おくれしてしまって逢うことはなくなった」と語っています。

向田さんが本を出版するたびに送っていたというやなせさんも、次第にその習慣をやめてしまったそうです。やなせさんは当時、「陽の当たらない場所でその日暮らしをしていた」と述懐しており、向田さんとの距離を感じていたことがうかがえます。

そして1981年、向田邦子さんが飛行機事故で急逝したとき、やなせたかしさんは62歳。まだ『アンパンマン』という代表作を世に出す前の時期でした。彼女の死は、やなせさんにとっても大きな喪失だったことでしょう。

飛行機嫌いが語る人生観──向田邦子さんの“地上の物語”

向田邦子さんの飛行機嫌いは、単なる恐怖心ではなく、彼女の人生観そのものだったのかもしれません。彼女は日常の中にある小さな感情や出来事を丁寧にすくい上げ、物語に昇華させる名人でした。

空を飛ぶことよりも、地上で人と人が交わる瞬間にこそ、彼女は価値を見出していたのではないでしょうかやなせたかしさんとの関係も、そんな“地上の物語”のひとつだったのかもしれません。

まとめ|向田邦子さんとやなせたかしさんの交差点にある静かな余韻

向田邦子さん飛行機嫌いと事故の真相、そしてやなせたかしさんとの関係をたどると、昭和という時代の文化人たちが紡いだ静かな交差点が浮かび上がってきます。

ふたりの関係は、華やかではないけれど、確かな信頼と尊敬に満ちていました。そして、向田邦子さんが空に消えたあとも、やなせたかしさんは地上で物語を描き続け『アンパンマン』という希望の象徴を生み出しました

このブログ記事が、向田邦子さんという人物の深みと、やなせたかしさんとの静かな絆を感じるきっかけになれば幸いです。

 



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